診断と真理 〜「肺炎か否か」はどうでもいい?病気を「治療する」ということ〜 第3回

3回にわたって、我々が日常診療で行っている「診断」というものの本質について考えていきます。よく言われる「診断にこだわる」姿勢は、医師として大変素晴らしいもののように聞こえます。しかし、それは果たして病気を治療する上で常に正しい態度と言えるのでしょうか?

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診断と真理 〜「肺炎か否か」はどうでもいい?病気を「治療する」ということ〜 第2回

3回にわたって、我々が日常診療で行っている「診断」というものの本質について考えていきます。よく言われる「診断にこだわる」姿勢は、医師として大変素晴らしいもののように聞こえます。しかし、それは果たして病気を治療する上で常に正しい態度と言えるのでしょうか?

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診断と真理 〜「肺炎か否か」はどうでもいい?病気を「治療する」ということ〜 第1回

3回にわたって、我々が日常診療で行っている「診断」というものの本質について考えていきます。よく言われる「診断にこだわる」姿勢は、医師として大変素晴らしいもののように聞こえます。しかし、それは果たして病気を治療する上で常に正しい態度と言えるのでしょうか?

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ベッドサイドで実験する人たち②

②「臨床研究の副次的結果」に基づく診療

臨床研究、特にその最高峰であるランダム化比較試験(RCT)では、その研究で検証しようとしている仮説(primary outcome)が設定され、その研究は基本的にその仮説以外に得られた結果については差のあるなしについての結論を下すことはできません。「死亡率」を比較したRCTで「人工呼吸器装着日数」に差があったとしても、「人工呼吸器装着日数に差があるかもしれない」という風にしか言えません。その研究は死亡率に差を見出そうとして規模が設定されており、人工呼吸器装着日数に差を見出すためにはまた別の規模の研究を設定しないといけないからです。

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ベッドサイドで実験する人たち①

ほとんどの病院には必ずと言って良いほど、ベッドサイドで「実験」をしている医師がいます。ここで言う実験とは、

「標準的治療とはおよそかけ離れた診療」

ということです。我々が日常的に行っている診療内容、教科書に書いてある治療法は、とくに疾患に特異的な治療法(急性心筋梗塞に対するバイアスピリン、外傷性ショックに対するトラネキサム酸など)については、過去にさまざまな検証を経てその地位を確立してきました。理想的には、あらゆる治療が質の高い検証に耐えてきていれば良いのですが、中には欠点を指摘されつつも臨床使用には耐えうるとして現代の医学に取り入れられたものも多いことでしょう。

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ガス分析と低Na血症③

先の説明の通り、間接法では血清サンプルを水で希釈してから測定に回します。

希釈の程度は20倍や30倍といった単位ですから、水で希釈されたサンプルは、そのほとんどが「水分画」になります。よって電極法にしろ炎光法にしろ、この希釈サンプルの濃度を測定すると、得られたNaイオン濃度はほぼ希釈後の「水分画」中の濃度と言って差し支えありません。そして、20倍に希釈したら、得られた希釈液の濃度を20倍に変換してもとのサンプルの濃度として報告するわけですが、ここで問題が生じます。

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ガス分析と低Na血症②

説明をわかりやすくするため、②の間接法×電極法から解説します。

②間接法×電極法

間接法では、血液をスピッツに入れた後、凝固して沈殿した血球成分+凝固因子を除いた「上澄み=血清」を測定器にかけます。このとき、生化学検査で調べたい項目は、当然Naイオン濃度だけではありませんので、Naイオン濃度の測定に用いられるのは上記血清のうちごく一部だけです。この少量サンプルに電極を差し込んで測定したいのですが、その際、このサンプルは水により希釈されます。なぜ希釈が必要なのかと言うと、サンプルの必要体積の問題のほかに、希釈することでNaイオン濃度がより正確に測れるためだと考えられます。

なぜ、希釈によりNaイオン濃度がより正確に測れるのか?

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RCTは真理という診断に近づくための検査である①

第1回.ランダム化比較試験の「感度」「特異度」

ある日の院内勉強会で、我々は「NIVAS trial」という、腹部術後にICUで急性呼吸不全を発症した患者にNIVを装着することで、通常酸素投与を行うよりも再挿管率を下げられるか、ということを検証したランダム化比較試験(RCT)を題材にジャーナルクラブを行った。その後主催側である我々は、サンプルサイズについての解説を参加者に行っていた。その席でαエラーとβエラーについて、最後まで数人で残って議論している時、とても興味深いことに気が付いた。それは、

「RCTとは、真理に近づくための「道具」である」

ということだ。何のことを言っているのか、と思われることだろう。

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ガス分析と低Na血症①

Q. るいそう患者の中央検査室のNa値が150、血液ガス分析装置でのNa値が140と乖離していた。とるべき対応はどれか

1)中央検査室の値を信頼して食間水を増やす

2)中央検査室の値を信頼して糖液を投与する 

3)血液ガス分析装置の値を信頼して特に補正は行わない

4)中央検査室に再検を依頼する

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