患者に化粧をして満足ですか?

「数字を治療するな。患者を治療しろ。」

医師としてこのような説教を誰しも耳にしたことがあるでしょう。実際のところ、我々は治療指標の多くを目の前にある数字に頼っています。血圧、心拍数、SpO2、体温、カリウム値、クレアチニン値、ビリルビン値、白血球数、、、ただしそれらの数字には、治療対象として妥当なものもあれば、そうでないものもあります。

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なぜあの人がムンテラするといつもFull CPRになるのか

急性期医療の現場では、しばしばこの種の問題に直面します。寝たきりの高齢者に人工呼吸器を装着する、透析を回す、胸骨圧迫を行う、、、適切な医療ではないと何となく感じていても、患者さんや家族の要望通りにしてしまう、結局いつも積極的治療を選択してしまう。これらのどこに問題があり、そして解決方法はあるのでしょうか?

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診断と真理 〜「肺炎か否か」はどうでもいい?病気を「治療する」ということ〜 第3回

3回にわたって、我々が日常診療で行っている「診断」というものの本質について考えていきます。よく言われる「診断にこだわる」姿勢は、医師として大変素晴らしいもののように聞こえます。しかし、それは果たして病気を治療する上で常に正しい態度と言えるのでしょうか?

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診断と真理 〜「肺炎か否か」はどうでもいい?病気を「治療する」ということ〜 第2回

3回にわたって、我々が日常診療で行っている「診断」というものの本質について考えていきます。よく言われる「診断にこだわる」姿勢は、医師として大変素晴らしいもののように聞こえます。しかし、それは果たして病気を治療する上で常に正しい態度と言えるのでしょうか?

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診断と真理 〜「肺炎か否か」はどうでもいい?病気を「治療する」ということ〜 第1回

3回にわたって、我々が日常診療で行っている「診断」というものの本質について考えていきます。よく言われる「診断にこだわる」姿勢は、医師として大変素晴らしいもののように聞こえます。しかし、それは果たして病気を治療する上で常に正しい態度と言えるのでしょうか?

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悪用される非劣性試験

一般的なランダム化比較試験では、新規の介入が既存の標準的介入に比べて優れているかどうかを「優越性試験」というデザインで検証します。事前に定めた臨床的に意味があると考えられる差よりも大きな差が検出されたとき、「有意差あり」と判断され、その新しい介入が臨床で用いられる可能性が出てきます(実際に用いられるかは批判的吟味の結果によります)

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ベッドサイドで実験する人たち②

②「臨床研究の副次的結果」に基づく診療

臨床研究、特にその最高峰であるランダム化比較試験(RCT)では、その研究で検証しようとしている仮説(primary outcome)が設定され、その研究は基本的にその仮説以外に得られた結果については差のあるなしについての結論を下すことはできません。「死亡率」を比較したRCTで「人工呼吸器装着日数」に差があったとしても、「人工呼吸器装着日数に差があるかもしれない」という風にしか言えません。その研究は死亡率に差を見出そうとして規模が設定されており、人工呼吸器装着日数に差を見出すためにはまた別の規模の研究を設定しないといけないからです。

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ベッドサイドで実験する人たち①

ほとんどの病院には必ずと言って良いほど、ベッドサイドで「実験」をしている医師がいます。ここで言う実験とは、

「標準的治療とはおよそかけ離れた診療」

ということです。我々が日常的に行っている診療内容、教科書に書いてある治療法は、とくに疾患に特異的な治療法(急性心筋梗塞に対するバイアスピリン、外傷性ショックに対するトラネキサム酸など)については、過去にさまざまな検証を経てその地位を確立してきました。理想的には、あらゆる治療が質の高い検証に耐えてきていれば良いのですが、中には欠点を指摘されつつも臨床使用には耐えうるとして現代の医学に取り入れられたものも多いことでしょう。

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ガス分析と低Na血症③

先の説明の通り、間接法では血清サンプルを水で希釈してから測定に回します。

希釈の程度は20倍や30倍といった単位ですから、水で希釈されたサンプルは、そのほとんどが「水分画」になります。よって電極法にしろ炎光法にしろ、この希釈サンプルの濃度を測定すると、得られたNaイオン濃度はほぼ希釈後の「水分画」中の濃度と言って差し支えありません。そして、20倍に希釈したら、得られた希釈液の濃度を20倍に変換してもとのサンプルの濃度として報告するわけですが、ここで問題が生じます。

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