研修者の心得

1.学習の本質
医学教育において、初期研修とは軸を持たない者に正しい軸を持たせる段階である。初期研修医はほとんどの場合、自らの診療の軸すなわちポリシー、ものの考え方、信念が確立していないため、決断に自信が持てず優柔不断であり、診療の「結果」からしか自らの診療行為を評価できず、行為の成否に自己評価が左右される。この結果主義的態度を次第に過程主義へと変化させていくのが正しい教育の方向である。この方向性はERやICUでの教育に限ったことではない。初期研修を通して、またその後の生涯学習においても、正しい診療信念の確立とその洗練が学習の本質である。

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なぜあの人がムンテラするといつもFull CPRになるのか

急性期医療の現場では、しばしばこの種の問題に直面します。寝たきりの高齢者に人工呼吸器を装着する、透析を回す、胸骨圧迫を行う、、、適切な医療ではないと何となく感じていても、患者さんや家族の要望通りにしてしまう、結局いつも積極的治療を選択してしまう。これらのどこに問題があり、そして解決方法はあるのでしょうか?

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腎機能過剰亢進

60/40 mmHg

250/180 mmHg

これらの血圧はどちらも異常であり、数値の上昇と低下は、現場では「病的」と捉えられます。しかし、腎機能については「低下」だけが異常として広く認知されており、我々は腎機能の低下の度合いに応じて様々な薬剤の投与量を減量、あるいは投与間隔を延長します。実は冒頭の血圧の例に似て、GFRで表される腎機能が「上昇」し、正常範囲を逸脱する現象が重症患者では時々みられます。

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