胸部打撲。みられる所見はなにか?
肋骨骨折、肺挫傷
超音波は長管骨の骨幹部骨折の検出に有用である。骨皮質の不連続性や、その周囲の血腫形成による低エコー領域が骨折を示唆する所見である。注意点として、胸部打撲では肋骨骨折よりもそれに付随する肺挫傷や血気胸についても評価を行うことが重要であり、これらの検出にも超音波を用いることができる。上の画像では、骨折部直下に不整なラインがみられ、胸膜下に挫傷を生じていることが推察される。前胸部でのLung slidingや側胸部での血胸の有無も併せて評価したいところである。(関連動画:#32)

転倒時に右手を伸ばして突いた。みられる異常はなにか?
肘関節内血腫
肘関節内の骨折は、レントゲンではFat pad signとして検出される。超音波でも、肘関節を90度屈曲させ、上腕骨背側からリニアプローブを当てて肘頭窩の後方脂肪体(Fat pad)を観察することができる。同部位の血腫はレントゲンにおける後方Fad pad signと同等の意味を持つ。上の画像では肘頭窩内部に低エコー領域がみられ、関節内血腫(Lipohemarthrosis:関節脂肪血腫)が示唆される。これは関節内骨折に随伴する所見を意味し、特に小児では緊急性の高い上腕骨顆上骨折を疑う上でも重要な所見である。

救急外来。発熱。考えられる原因疾患はなにか?
胆管炎
胆嚢炎と比較して、救急外来で胆管炎の診断にエコーが果たす役割はやや小さい。しかし時として、この画像のように肝内胆管の樹枝状の拡張がみられることがあり、その他の症状や感染徴候唆と併せて早期に胆管炎の可能性に思い至ることができる場合がある。ただしこうした胆管拡張の所見がみられなくても胆管炎の可能性を除外することはできず、採血データやその他の所見を総合して判断しなくてはならないことのほうが多い。拡張した胆管と肝内血管を見誤らないよう、画像のようにカラードップラーを併用して評価することも大切である。
救急外来。発熱、腹痛。みられる異常はなにか?
総胆管の拡張
総胆管の同定は、胆嚢と右門脈との位置関係によって行うのが比較的容易である。門脈の浅側には肝動脈と総胆管が3つ組になって存在しており、血流のない方が総胆管である。通常は冠動脈も総胆管も同程度の径であるが、この画像のように一方が拡張している場合は総胆管の閉塞が示唆される。症候群からは閉塞性化膿性胆管炎が疑われる。

血圧低下。みられる異常はなにか?
1型呼吸不全。みられる異常はなにか?
呼吸困難。示唆される疾患はなにか?
気胸
エコーによる気胸の評価にはLung slidingの有無が有用であるが、この例ではLung slidingの有無が分かりにくい。表面から1cm程度の深さにLung slidingのようなものがみられるが、これは皮下気腫により生じたアーチファクトである。肋骨の位置を考えれば、胸膜はさらに深いところに位置していることが分かるため、上記がLung slidingとは別物であること判断できる。皮下気腫は気胸の存在を示唆しており、Lung slidingは消失している可能性が高い。初学者を惑わせるPitfallである。
みられる所見はなにか?
Sea-shore sign
肺エコーでのLung slidingは、Bモードだけでも慣れれば十分に判断できるが、Mモードを用いることでも特徴的な画像を描出できる。胸膜より浅い部分は呼吸により画像がほとんど変化しないため、経時的な表示では平行線を重ねたような模様を描く一方、胸膜より深い部分はLung slidingにより生じるアーチファクトにより刻一刻と画像が変化するため、経時的にみると砂嵐のような模様を描き出す。この模様を海と砂浜になぞらえてSea-shore signとよび、これは正常な肺のMモード所見である。
救急外来。発熱。みられる異常はなにか?
大動脈弁の疣贅
救急外来での心エコーでは弁膜症の詳細な評価は一般に求められないが、感染性心内膜炎を疑うような症例では時に弁構造の異常に気がつくことがあり、診断に寄与する。この例では、無冠尖に疣贅の付着を疑わせる所見があり、大動脈弁逆流を伴っている。
救急外来。右下腹部痛。みられる構造物はなにか?
小腸
虫垂の描出を行う際、虫垂と見誤りやすいものの1つに小腸がある。虫垂の周囲にも小腸はあちこちに観察されるため、判別のポイントを知っておくことは有用である。虫垂は、正常であっても腫脹していても蠕動をしないため、通常は蠕動のある小腸との区別は比較的容易である。蠕動を観察するには、プローブをしっかりと固定、静止させ、腸管壁の運動を丁寧に観察する。上の画像では蠕動運動がみられるため、虫垂ではなく小腸であることがわかる。小腸は虫垂よりも径がかなり大きいことも判別のポイントとなる。

