【#31】腹部打撲。みられる所見はなにか?
【#32】胸部打撲。考えられる疾患はなにか?
肋骨骨折
超音波は長管骨の骨幹部骨折の検出に有用である。骨皮質の不連続性や、その周囲の血腫形成による低エコー領域が骨折を示唆する所見である。肋骨骨折はレントゲンでも検出感度が悪く、妥当な病歴と局所の圧痛により診断するが、超音波であれば視覚的にも高感度で検出可能であり、患者と所見を共有する際にも有用である。注意点として、胸部打撲では肋骨骨折よりもそれに付随する肺挫傷や血気胸についても評価を行うことが重要であり、これらの検出にも超音波を用いることができる。
【#33】発熱、大腿部の腫脹熱感。考えられる疾患はなにか?
皮下膿瘍
軟部組織感染症を疑う際に、膿瘍形成の有無の評価のために超音波を用いることができる。身体診察上は膿瘍の有無を正確に判定することは難しいが、超音波であればドレナージ可能な液体貯留の有無を評価することができ、治療方針の変更につながる。部位によっては血管病変と見誤る可能性もあるため、その場合はカラードップラーを用いて内部の血流の有無を確認する。(関連動画:#98)
【#34】胸部圧迫感。壁運動の低下領域はどこか?
【#35】救急外来。心肺停止。考えられる原因疾患はなにか?
心タンポナーデ(急性大動脈解離)
心肺停止の原因検索の”5H5T”のひとつである心タンポナーデは、身体所見上は診断が困難であるが、心エコーによる心嚢液の貯留によって判明する。心肺蘇生時の超音波の役割は未だ確立していないが、このように補助的に用いることで原因や予後の予測に活用できる可能性がある。超音波の使用により胸骨圧迫の中止時間が延長したり、質が低下したりしないよう十分に注意して実施することが求められる。
【#36】発熱、腹痛。考えられる原因疾患はなにか?
胆嚢炎
胆嚢炎を示唆する超音波所見にはいくつかのものがあるが、その中でも特異度が比較的高いとされるのが胆嚢周囲の液体貯留や胆嚢腫大、胆嚢壁の浮腫である。上の画像では、胆嚢周囲に液体貯留がみられ、胆嚢炎が強く示唆される。
【#37】ICU。低酸素血症。みられる異常はなにか?
無気肺、胸水
肺のエコーでは、含気の消失した肺はこの画像のように肺の構造が描出されるようになる。ただし含気のある部分ではそれより後方にはビームが届かないため、肺の構造は不可視化する。この例では、呼吸に応じて含気のある部分が出現しているように見えるが、これは吸気により肺の一部が虚脱と拡張を繰り返している可能性と、呼吸により無気肺部分と含気のある部分が交互に描出視野に入ってくる可能性が考えられる。


【#38】みられる所見はなにか?
Ureterovesical jet(尿管膀胱ジェット)
尿管と膀胱の移行部は一方向弁となっており、間欠的に弁が開放して膀胱内に尿が貯留する。内尿道口から頭側にプローブをTiltさせていくと、尿管口の部分でこの画像のように膀胱内に流入する尿の流れをUreterovesical jetとして捉えることができる。1分間に数回の間隔で観察されるが、尿産生量によって患者間のばらつきは大きい。Jetが噴出する部分が尿管口であることから、尿管膀胱移行部に嵌頓した結石を観察する際に位置の確認に利用できる。(関連動画:#6)
【#39】徐脈。意識レベル低下。みられる所見はなにか。
心嚢液貯留、バルサルバ洞内のフラップ
大動脈解離の超音波の感度は十分ではないが、時として特異度の高い所見を得ることができ、診断のスピードを早めることができる場合がある。直接的な所見としては解離病変の描出が挙げられ、ここでは大動脈流出路にフラップがみられる。心嚢液が右室前面に少量貯留しており、徐脈ということからも解離の冠動脈への進展が懸念される。このほかの観察部位として、心臓の裏の下行大動脈や頚動脈、腹部大動脈にフラップが確認されることもあるが、それらに異常がみられなかったとしても大動脈解離を除外することはできず、除外には造影CTでの評価が必要である。(関連動画:#68, #74)

【#40】同じ部位を異なる方法で観察している。違いはなにか?
THIのON/OFF
通常、超音波検査ではアーチファクトの除去のため、いくつかの設定が有効になっている。代表的なものにTissue harmonic imaging(THI)機能があり、これが有効になっていることで実質臓器の描出像はかなり鮮明になる。肺エコーではLung slidingやBラインといったアーチファクトが観察対象となるため、デフォルトの設定(動画左)のままでは却って観察が行いにくい。THI設定をOFFにする(動画右)ことで、Lung slidingやBラインがより明瞭に観察されるようになる。

