【#21】心肺停止。みられる所見はなにか?
【#22】救急外来。若年男性の下腹部痛。考えられる疾患はなにか?
精巣捻転
精巣捻転に対する感度が高い診察所見としては、精巣挙筋反射の消失が挙げられるが、超音波による血流の低下/消失もこれと並んで感度が高いことが知られている。せいじょうな精巣では、血流部位に点状のカラーフローが散見されるが、上の画像ではこれが消失している。左右を比較することでも所見の有意性を確認することができる。プローブは通常、リニアプローブを用いる。
【#23】救急外来。右腹痛。みられる異常はなにか?
高度の水腎症
水腎症は、程度に応じて軽度、中等度、高度に分類され、上の画像のように腎皮質の菲薄化を伴うものは高度水腎症に分類される。救急外来で水腎症をきたす疾患の代表は尿管結石症であるが、高度の水腎症を生じることは比較的稀で、何らかの慢性閉塞性病変が存在することが示唆される。腹腔内の占拠性病変によるものや、尿路の先天異常に伴うものなどがあるが、いずれにしてもこの所見をみて尿管結石症と診断することは拙速に過ぎる。
【#24】救急外来。不機嫌な幼児。考えられる疾患はなにか?
腸重積
小児の腹痛や機嫌不良の鑑別疾患に腸重積があるが、熟練した医師による超音波の診断精度はきわめて高いとされる。腸重積でみられる所見には、Doughnut signやPseudo-kidney signがあるが、上の図でもそれらが確認できる。腎臓を同時に描出することで、重積した腸管を腎臓と見誤る懸念をなくすことができる。

【#25】救急外来。心窩部痛。みられる異常はなにか?
胆石症
腹痛の主要な鑑別疾患の1つである胆嚢炎や胆石仙痛発作であるが、超音波での胆石(胆泥)の描出が必須である。右季肋部で胆嚢を長軸、短軸で評価することが望ましく、胆嚢を描出した状態での圧迫による”Sonographic Murphy’s sign”も確認することができる。胆石あるいは胆泥の存在が必須ではあるが、逆に胆石の存在が必ずしも胆嚢炎や胆石仙痛発作を意味しないことは注意が必要である。腹痛を来す他の致死的疾患についても評価することを忘れてはいけない。(関連動画:#83)
【#26】肝硬変の患者。みられる異常はなにか?
腹水貯留
FASTなどで腹腔内液体貯留を評価する際、左上腹部では脾臓周囲を観察する。「脾腎間」という言われ方をされることがあるが、これは正しくない。画像のように、脾腎間は間膜により貯留スペースはなく、実際に貯留するのは「脾周囲」である。横隔膜下は肺の干渉により特に観察が難しいが、できるだけ背側からビームを向け、脾臓をウィンドウにしてややプローブを頭側に向けて観察することで評価することができる。
【#27】血圧低下。示唆される疾患はなにか?
肺塞栓症
循環動態の破綻を伴う肺塞栓症でみられる所見にD-shapeがあるが、これは傍胸骨短軸像でみたときの左室の形に由来している。右室圧の上昇に伴って心室中隔が扁平化し、左室壁が”D”の形を呈する。ただし、疾患の特異性は乏しく、右室圧が上昇する病態では肺塞栓症以外でも同様の形態学的特徴を示すことが知られており、これにはARDSや肺高血圧症、急性右室梗塞などが含まれる。(関連動画:#87)
【#28】このプローブの動かし方を何と呼ぶか?
Rocking(ロッキング)
プローブの動かし方には、「Rock」「Tilt」「Slide」「Rotate」「Compress」の5つがある。このうちRockingは、プローブのビームの平面上でプローブを左右に傾けることで、同じ平面のより広い範囲を観察するための運動である。心エコーの心尖部四腔像で、寝ている心室中隔を起こす際などに用いられる。(詳しくは救急超音波シリーズ 心エコー①)
【#29】心臓後方にみられる所見はなにか?
心嚢液、左胸水
傍胸骨長軸像で、心臓後方に生じるエコーフリースペースには、心嚢液と左の胸水がある。両者の区別にとって重要なのが、下行大動脈との位置関係である。心嚢水は、下行大動脈と左房との間に収束するように貯留し、左胸水は下行大動脈の後方にまで広がって貯留する。上図では、下行大動脈が描出されておらず、心臓後方のエコーフリースペースが心嚢液なのか左胸水なのか初見では区別がつかない。もう少し深度を深くし、下の画像のような像を描出することが望ましい。この症例でははじめにみられたエコーフリースペースは心嚢液である。
【#30】救急外来。右足痛。考えられる疾患は何か?
アキレス腱断裂
アキレス腱断裂の身体所見としてはトンプソン徴候や陥凹の触知などが知られているが、いずれも感度は十分ではない。超音波では、アキレス腱断裂を視覚的に捉えることができる。断裂部では下の画像のように繊維の不連続な部分が容易に見て取れる。身体所見で分かりにくい不全断裂の場合でも異常として覚知することができる。


