悪用される非劣性試験

一般的なランダム化比較試験では、新規の介入が既存の標準的介入に比べて優れているかどうかを「優越性試験」というデザインで検証します。事前に定めた臨床的に意味があると考えられる差よりも大きな差が検出されたとき、「有意差あり」と判断され、その新しい介入が臨床で用いられる可能性が出てきます(実際に用いられるかは批判的吟味の結果によります)

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RCTは真理という診断に近づくための検査である①

第1回.ランダム化比較試験の「感度」「特異度」

ある日の院内勉強会で、我々は「NIVAS trial」という、腹部術後にICUで急性呼吸不全を発症した患者にNIVを装着することで、通常酸素投与を行うよりも再挿管率を下げられるか、ということを検証したランダム化比較試験(RCT)を題材にジャーナルクラブを行った。その後主催側である我々は、サンプルサイズについての解説を参加者に行っていた。その席でαエラーとβエラーについて、最後まで数人で残って議論している時、とても興味深いことに気が付いた。それは、

「RCTとは、真理に近づくための「道具」である」

ということだ。何のことを言っているのか、と思われることだろう。

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