不健全な自己愛補給の表現型

不健全な方法で自己愛を補おうとすると、心身に何らかの無理がかかる。心理面では人間関係が犠牲になり、身体面では様々な不調を呈する。視力の低下は現代ではほぼ不可避となってしまったが、それは学力主義、ゲーム、スマホといった過剰な近距離視が習慣化した結果と言える。肥満や糖尿病は過食偏食という自己愛補給が慢性化した結果を見ている。アルコールに依存しなければ肝臓を早期に壊すことはなく、タバコに依存しなければ肺を壊すこともない。芸術への過度な没頭はしばしば親子関係や友人関係に負の影響をもたらす。趣味への没頭が正常な人間関係を阻害することもある。人間の自然状態を逸脱させる行動は基本的に全て不健全な自己愛の表れであるとみてよいだろう。それはなにも生活習慣病に代表されるような病気に限らない。耳に穴を開け、毛根を意図的に破壊し、顔や体の形を変え、筋肉増強剤を使い、少なくなった髪を増やし、質の変わった皮膚やその皺を塗り物で隠そうとすることで自分の理想イメージに近づき満足を得ようとする。その全てが不健全な自己愛補給の試みであり、幻想追求、ナルシシズムである。頭髪を思い通りに整えること、眼鏡のフレームを選ぶこと、そして服を選ぶことさえも、この視点からはナルシシズムである。その人の身体、そして人間関係を見れば、その人の自己愛の健全性がわかる。