ナルシシストのポリシー

ある事柄について、2つの選択肢がある場合にどちらを選んでよいのか明確に決められない。つまり優柔不断。忘れ物を取りに帰って少し遅刻するか、後で時間のある時に取りに帰るか。このような選択時に、その者の内的な指針、ポリシーが試されることになる。ナルシシストはおそらくこうした選択に迷うことが多いのではないだろうか。なぜなら彼らはそこへ到達するためならどんなことでもやるという生き方を選んできたので、そのプロセスについて深く考えることをしてこなかった。そのためその者の好む選択の集合体としての「姿勢」が確立していないのではないか。彼らにポリシーがあるとすれば、それは「最も早く望んだ結果が手に入るほうを選ぶ」というものだろう。先の例についても、遅刻することでの周囲への迷惑というようなことよりも、より早く目的に到達するというゴールが優先されるので、余程の遅刻を生じるのでなければその場で忘れ物を取りに帰ってしまうのだと思われる。より迅速に結果を求める姿勢は随所に見られ、例えば作業を一晩で仕上げるために睡眠時間を削ったり、空腹を無視して作業を続けたりといった姿勢となって表れてくる。現代社会が指向する「生産性の向上」「効率の追求」というのは、最短での結果への到達というナルシシストの指針と親和性が高い。結果への執着が他人や身体へさまざまな悪影響を及ぼす。だがナルシシストはそうまでしないと自分の中の空虚感を埋めることができない。

ナルシシストはいち早く結果を手に入れることにとらわれすぎている。人生には結果を手に入れるスピードよりももっと大切なことがあるということを身をもって実感する必要がある。だがそれは一朝一夕で感じられることではない。それが彼らの行動変容を一層困難にしている。彼らにはどうあっても我慢の時期が必要なのだ。結果を急がず、人間関係を大切にしながら、理想に向かって少しずつの努力を重ねる時期が必要なのだ。