Concealment

Q. ランダム化比較試験において、Concealmentを担保するために最もすぐれた手法はどれか

1)コイントス法による割り付け

2)封筒法による割り付け

3)中央割り付け

4)固定ブロックサイズによる割り付け

(解答は文末にあります)


RCTにおけるConcealment(コンシールメント)とは、簡単に言えば、「ランダム化されて準備された割付順序が、治療に関わる研究者に事前にバレていないか」ということです。準備された割付順序の「ランダム性が担保されているか」とは異なり、準備された割付順序が「その通りに実行されたか」という観点からの質の評価を表す言葉です。

折角コンピューターでランダムな変数を作り出し、割り付ける準備を整えても、その通りに割り付けが実行されなければ変数を作り出した意味が失われます。

Concealmentを担保するための工夫には、「不透明な封筒を用いた割付」や「電話による割付」があります。例えば封筒法とは、患者組み入れが行われるその場で封筒を開封して割り付けを決める方法を指しており、英語ではLocal randomizationと呼ばれるカテゴリーに属します。

封筒は(ルールと良心に従えば)基本的に順番に開封されることになっており、順番に開封された場合、その割り付けの序列はきちんとランダム化されたものになります。

しかし、実際には悪意ある研究者が封筒を透かしてみたり、開けてみたりしてその序列を開封前に知ることができます。次に組み入れる患者をどちらかの介入群に意図的に割り付けたい場合、封筒が外見上区別不能なら、「隣の封筒を先に開けちゃえ」ということが可能になるわけです。

これを防ぐため、封筒表面に開封順序を示す番号が振ったらどうでしょう?この場合、封筒を開ける順序は制限されますが、次に割り付ける患者が組み入れられるかどうかはその時点ではまだ決まっていませんので、何だかんだと理由をつけてその患者を組み入れから除外することで自分の思うように割付を調整することが可能です。

これを防ぐため、「割付順序が分かるものは、患者組み入れが行われる場所とは別の場所で第三者が管理し、その順序が意図的に変えられないようにしよう」というのが、電話を用いた方法をはじめとする「Distance randomization」という考え方です。「センター割付」などとも呼ばれるこの方法では、ランダム化が行われる場所とは異なる場所で割付群が決定され、電話やインターネットを通じて現場に通達されます。

割り付けの現場に次の介入を知る(変える)物品や手段がなければ、Distance randomizationに該当することになります。Local randomizationよりもDistance randomizationの方がConcealmentが担保されやすいと言えますが、それでも現場の研究者が電話やインターネットの向こうの研究者と結託できてしまうような場合は、Concealmentの質は毀損されてしまいます。

最も大事なことは、どの方法を用いたのかではなく、用いた方法を論文中に明記し、読み手がその方法でConcealmentが担保されているかを正しく判断できる状態にすることです。


Q. ランダム化比較試験において、Concealmentを担保するために最もすぐれた手法はどれか

1)コイントス法による割り付け

2)封筒法による割り付け

3)中央割り付け

4)固定ブロックサイズによる割り付け


参考文献

 Understanding controlled trials. Randomisation methods: concealment
 BMJ. 1999 Aug 7;319(7206):375-6. 
 PMID: 10435967

 How to randomize
 J Soc Integr Oncol. 2006; 4(4): 194–198.
 PMID: 17022927

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